●人事・労務

Q1

職員の自発的な行為によって1日に1時間ないし2時間くらいの時間外労働を行うことがときどきあるが、このような場合も、割増賃金を支払わなければならないか。

A1

  職員が使用者(上司)の明白な超過勤務の指示がないのに、自発的な就業時間外や休日に労働を行っている場合であっても、使用者が、その自発的残業を知っておりながらこれを中止させず放置していた場合には、使用者がその自発的残業を容認したことになります。また、その自発的残業の成果を施設が受け入れることになるので、使用者の指揮監督下における労働と同様に労働時間になります。したがって、このような自発的残業を施設が労働時間として認めたくなければ、直ちにその残業を中止させるべきです。
  また、使用者が労働者の自発的残業の事実を知らなかった場合でも、「使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内ではなされ得ないと認められる場合のごとく、超過勤務の黙示の指示によって法的労働時間を超えて勤務した場合には、使用者は労働基準法第37条に規定する割増賃金を支払わなければならない。」(昭25.9.1 基収第2983号)とされています。
 従って、質問のような場合には、割増賃金を支払わなければならないことになります。
 
 割増賃金は、仕事の早い人、遅い人にかかわらず同じように支払わなければなりません。また、不必要な残業をする職員にも使用者に支払義務が発生します。労働基準法の基本的な考え方は、「労働時間=賃金」であり、「仕事量=賃金」ではありません。
 このことは、時間外労働の扱いが労務管理の問題に止まらず、大きな経営課題にもなってくるのです。質問のような職員を放置しておくことは、施設のリスクになるとともに、長い目でみれば経営改善の面でもマイナスになってまいります。ましてや、サービス残業を奨励し、そのような職員を高く評価するようなことは避けなければなりません。その結果、だらだら居残りを放置したり、シフト管理が甘くなったり、効率労働の職員より非効率労働な職員を高く評価したりすることになってしまうからです。
 「突発時以外の自発的残業は、認めない」、「使用者(上司)の指示または承認があってはじめて労働の義務と権利が発生する」、この原則に基づいて時間外労働およびシフト編成の管理体制を再点検することをお勧めいたします。 

 次に、割増賃金の算定基礎となる賃金から除外することができる賃金項目を確認しておきます。
  1.家族手当(ただし、家族数に関係なく一律に支給されている場合は計算に算入する)
  2.通勤手当(ただし、通勤費に関係なく一律に支給されている場合は計算に算入する)
  3.別居手当
  4.女子教育手当
  5.臨時に支払われる賃金(支給事由の発生が不確定で、まれに支払われるもので結婚手当、私傷病手当、退職金などが該当)
  6.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる精皆勤手当・勤続手当・奨励加算や能率手当などが該当。ただし、毎月支払われるものは要算入)
  7.住宅手当(住宅に要する費用に応じて、定率を乗じて支給されるもの、若しくは、費用に応じて段階的に区分して支給されるものは除外してもよい。ただし、全員一律に定額で支給する等の場合は要算入)
  従って、上記以外の賃金はすべて割増賃金の算定基礎に含めなければならないことになりますのでご注意下さい。